高校受験のための塾費用はいくら必要?
進学塾の費用相場を紹介

2020.08.31

高校受験=進学塾のイメージをお持ちの親御さんも多いのではないでしょうか。勉強するのはお子さんの仕事ですが、親御さんの仕事として大事なのは費用の捻出かもしれません。お子さんにいい環境を整えたいとは思いつつ、安くできるなら安くしたいと思うのが本音でしょう。進学塾の費用にまつわる情報をまとめてみます。

中学生の塾費用の相場は?

上は中学生が学習塾費としていくらぐらい使っているのかを文部科学省が調査(平成30年度子供の学習費調査)して算出した平均値です。これが相場金額とできれば簡単なのですが、塾に通っている人の実際の費用だけでなく、塾に通っていない人を費用0円として計算に入れてしまっています。

文部科学省の発表によれば、塾に通っておらず費用0円と答えたのは公立31.1%・私立45.2%にのぼり、年間で1円以上使ったと答えた人のみの平均額は公立294,000円・私立262,000円だったようです。ただこの金額も平均金額であり、相場金額とは厳密には違うのを理解しておきましょう。

また文部科学省の説明によれば、「学習塾へ通うために支出した全ての経費で,入会金,授業料(月謝),講習会費,教材費,通っている学習塾での模擬テスト代,学習塾への交通費」が学習塾費として計算されているため、たとえば授業料だけにしぼるといった見方はこのデータからできません。参考にする際は、この点を注意しておきましょう。

項目別に見る!進学塾にかかる費用

塾の費用について、その内訳はどのようになっているのでしょうか。進学塾の費用として考えられる項目を挙げてみました。さらに進学塾4社のHPに掲載されている費用関連の情報もまとめています。

  • ・授業料:月謝に当たる
  • ・入学金:塾に入る最初にかかる事務手数料
  • ・年会費:月謝とは別で年間の事務手数料が発生する場合もある
  • ・教材費:テキストや問題の作成・印刷代
  • ・テスト代:テストや模擬試験の費用
  • ・季節講習費:春期講習・夏期講習・冬期講習などにかかる費用

進学塾①〜④はすべて集団指導塾です。4社中3社が教材費やテスト代の情報を開示していなかったので費用がかかる以上は分かりませんが、概ね一般的な費用感に近いと捉えてもいいのではないでしょうか。もちろん地域差や授業時間などの差異があるのを忘れないでください。

交通費や飲食代など、塾代以外にかかる費用

また塾に直接支払う以外にも発生する費用をチェックしておきましょう。たとえば塾までの移動距離が大きい場合は交通費がかさんできます。学校近くで、通学用の定期券と合わせられるならば良いのですが、通塾のためだけに新調するとしたら塾選びの大きな判断材料になるでしょう。

また文房具を自分で用意するのはもちろんですが、先述のとおり塾によっては教材費・テキスト費などが別で発生する場合もあるでしょう。授業で使うテキストだけでなく、講師が薦めた問題集を買うなんてことも珍しくはありません。あとはテスト代・模擬試験代も受ける回数に応じて加算されてくるため事前に把握し、費用として認識しておきましょう。

高校受験のための塾は進学塾以外も!補習塾・家庭教師・通信教育の費用相場

「学習塾」とは、入試の指導に特化する「進学塾」と、学校の授業についていけるように定期テスト対策などもしてくれる「補習塾」を合わせた言葉です。高校受験となると進学塾を連想するかもしれませんが、人によっては補習塾の方があっている場合もあるでしょう。

また本記事のコンセプトである費用面では、文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」において“学習塾費”と一括りにされており、進学塾だけ・補習塾だけを細かく算出はされていませんでした。そこで進学塾と同様に、進学塾以外の勉強ツールである補習塾・通信教育・家庭教師の費用の相場感を考える上で参考になりそうなデータをまとめてみました。

補習塾

A・Bは個別指導、Dは集団指導、そしてCは集団個別指導型の補習塾の費用です。Cの集団個別指導型とは、個別指導では講師1人に対して生徒が2〜3人のところを、講師1人がより多くの生徒を指導するスタイルでした。集団に対して授業を展開してはいるものの、あくまで教科書の内容を理解するのに重きを置いた指導をしているため集団個別指導と名乗っていると推測されます。

費用は、やはり個別指導の方が割高になっているのが分かります。また同じ集団指導塾である、進学塾①〜④と補習塾C・Dを比べてみると、3年生時は進学塾の方が補習塾よりも授業料が高くなっているのが顕著です。ただ1・2年生時の授業料は、6社の比較だけではそこまで大きく違うとは言い切れません。進学塾・補習塾のいずれにしても、1・2年生時は週2回通塾だとすると1万〜1万5000円前後はかかると思って、近くの塾の費用と比べて検討するがのではないでしょうか。

家庭教師・通信教育

また塾以外の勉強ツールの費用についても触れておきましょう。上は、先述の文科省の調査において“家庭教師費等”の費用の平均値として算出された金額です。家庭教師は自宅などに講師が赴き生徒と対面しながら指導するスタイルが一般的で、通信教育は送られてきた教材を独学やインターネットを介した映像授業をさす言葉でしょう。つまり家庭教師と通信教育は本来であれば別ものです。

しかし“家庭教師費等”の項目名のとおり、文部科学省の説明では「家庭教師への月謝(謝礼),教材費また,通信添削などの通信教育を受けるために支出した経費」とされており、家庭教師と通信教育にかけた費用の平均値を個別で知ることはできません。

そこで家庭教師・通信教育に関しても4社ずつの費用をまとめてみました。家庭教師は、生徒1人に対する講師のコストが高いのに加えて移動などの負担があるため、塾や通信教育と比べると割高になるのが分かります。通信教育は講師のコストが比較的小さいため数千円台の月謝から始められるサービスが多いです。

進学塾の費用を抑えるために考えたいこと

進学塾にかかる費用を他と比較しながら見てきましたが、受験対策だからやっぱり進学塾!……でも、費用を抑えられるなら抑えたい……と葛藤されている方も多いでしょう。ただ単純に減らせばいいわけでもありません。どういった点に注意してコストダウンを図ればいいのかを考察してみましょう。

生徒に適した塾を選ぶ

学習塾の種類として進学塾・補習塾および集団指導・個別指導を紹介しましたが、お子さんの性格にあったスタイルの塾を選ぶのが大事です。周りと切磋琢磨しながら勉強するのが好きなら集団指導でもいいですが、おっとりとしていて質問などを積極的にできない子なら個別指導の方がいいかもしれません。お子さんが勉強に集中できるスタイルの塾を親御さんは選んであげるようにしましょう。

塾通いをさせるトータルコストを確認

塾によっては授業料を安価に見せたり入学金無料を謳ったりして安さをアピールしてくるかもしれません。しかし大切なのは総額です。年間でいくらかかるのかをあらかじめ見積もって塾を比較すると失敗を防げるでしょう。
また性格はもちろん、住んでいる場所や部活動の加入など状況もお子さん一人一人違います。そのため遠方からの通塾になればなるほど交通費がかさみます。お金だけでなく、通塾にかかる時間や親御さんのサポートの要・不要も検討材料に入れてトータル的にコストの低い塾を選ぶというのも有効です。

合格保証のある塾を選ぶ

塾によっては“合格できなければ全額返金”のようなシステムを設けている塾もあります。お子さんが合格してくれるのが一番ですが、もし不合格になったときにキャッシュバックがあるのは親御さんにとって安心につながるかもしれません。ただ、一番大切なのはお子さんが勉強に集中できるかです。もし合わなかったとしても、合格保証があるからと親御さんから言われるとその塾以外に通いたいと言い出せないお子さんもいるでしょう。

進学塾以外を選ぶ

進学塾の費用を抑えるためとは言いつつも、そもそも進学塾で受験対策をする以前のレベルでつまずいているお子さんもいるでしょう。そういったお子さんの場合は補習塾で基礎を固めてから、改めて進学塾を利用するのでもいいかもしれません。
また交通費についての話が出ましたが、進学塾が近くにない地域の場合は家庭教師や通信教育の方がコストを抑えられる可能性が十分にあります。受験対策=進学塾と固執しすぎずに、お子さんの状況に合わせた選択をしましょう。

費用ばかりではなく、お子さんが勉強に集中できているかも気にする!!

高校受験に向けて塾を利用する場合の費用について、情報をまとめてみました。費用をなるべく抑えたい気持ちは誰でも同じです。しかし、結局はお子さんが志望校に合格しなければ高くても安くても無駄との捉え方もできます。金額だけに目が行きがちですが、お子さんが集中して勉強できる環境なのかを親御さんはしっかり見極めて塾選びをなさってください。