かかる言葉と受ける言葉を近づける!
中学生が知りたい作文技術
2020.04.27
分かりやすい文章を書くにはコツがあります。英語の文法みたく受験で問われるようなルールではありませんが、日本語も言葉の使い方を工夫するだけで読みやすさ・分かりやすさが向上するのです。どういった使い方をすればいいのかまとめて紹介していきます。
「かかる」と「受ける」を理解しよう
文章を書くとき注意したいのが、【かかる】と【受ける】の関係です。具体的に「おにぎりを食べる」を例文①として説明してみましょう。①では「おにぎりを」が「食べる」にかかっている、また「食べる」が「おにぎりを」を受けているといえます。かかる・受けるの関係は文章が長くても同じです。試しに文を長くしてみましょう。
②:母がにぎってくれたおにぎりを部活の練習の合間に食べる。
長くした②では「母がにぎってくれたおにぎりを」が「部活の練習の合間に食べる」にかかっています。また前半の部分では「母がにぎってくれた」が「おにぎり」にかかり、後半では「部活の練習の合間に」が「食べる」にかかっています。
かかる言葉と受ける言葉を近づける
そして文章を分かりやすくするにはかかる言葉と受ける言葉をなるべく近づけるのポイントなのです。下の例文③を見てください。
③:部活の練習の合間に母がにぎってくれたおにぎりを食べる
③は②の語順を入れ替えた文章ですが、②にくらべて読みづらいと感じるのではないでしょうか。理由は、かかる言葉と受ける言葉の距離があるからです。②ではかかる言葉の直後に受ける言葉があるため、一つのカタマリとして捉えやすくなっています。
一方の③では、かかっている「食べる」との間に距離ができているため、「部活の練習の合間に」が「母がにぎってくれた」と「おにぎりを食べる」のどちらにかかっているのかが分かりづらいのです。
普段の会話では、雰囲気や状況などでかかる・受けるの関係を無意識に推測できます。しかし文章だけで情報を正しく伝える際には、語順にも注意しなければなりません。
むやみやたらに読点(、)は打たない
また読点「、」の打つ場所も文章を読みやすくするためには意識する必要があります。さっそく例文をご覧ください。
④部活の練習の合間に、母がにぎってくれたおにぎりを食べる
③にひとつだけ読点を打ちました。これだけで分かりやすくなったのではないでしょうか。③では「部活の練習の合間に」が「母がにぎってくれた」にくっついているため、母がおにぎりをにぎったのは部活の練習の合間との誤った意味でも読めていました。
「部活の練習の合間に」と「母がにぎってくれた」を読点で分ける工夫によって異なる意図での解釈を防ぎました。文章が長ければ長いほど適切な場所に読点を打つのが文章を読みやすくするコツなのです。反対に、読点は打ち過ぎると読みづらくなったり、不適切な場所に打つと違った意味での解釈につながったりするので注意しましょう。
ひらがなか漢字は前後をみて考える
習った漢字はできるだけ書きましょうと先生から言われたかもしれません。しかし読みやすい文章を書く上では必ずしも遵守しなくても大丈夫です。漢字は前後を見て読みやすいように使い分けましょう。
⑤ 今今井先輩に会った
⑤のままでは先輩の名前が「今井」か「今今井」かの判断がつきません。もしかしたら「今」を二重に打ったミスとも捉えられます。
⑥ いま今井先輩に会った
⑥なら先輩の名前が今井だと限定できました。「今」のような簡単で一般的な漢字でも⑥のようにひらがなをあえて使えば文章を読みやすくできます。
文章を読む人にとって読みやすいかを優先
今回は詳しく解説できませんでしたが、ほかにも下のような点を意識すると読みやすい文章が書けます。
- ・かかる言葉は長いものを先に書く(受ける言葉の近くに短いものを書く)
- ・適度に改行を入れる
- ・特別な目的がないかぎり、同じ形式・語尾を繰り返したり、体言止めをしたりしない など
今回紹介したテクニックを使うのも大事ですが、読む人にとって読みやすいかという観点で書くのを忘れないでください。テストや授業で書く文章は先生が読みますし、メールやチャットなども家族や友達が読むのを意識しているでしょうか。本当に読みやすく書けているかは、相手に見せる前に一旦立ち止まって見返すことで見えてきます。作文をする際はぜひ意識してみてください。